2007年08月
2007年08月31日
8月 名歌観賞一覧 (1)
8/1 高き屋に 登りて見れば 煙立つ 民のかまどは
にぎはひにけり 仁徳天皇
8/2 何処にか われは宿らむ 高島の 勝野の原に
この日暮れなば 高市黒人
8/3 露涼し 形あるもの 皆生ける 村上鬼城
8/4 春の苑 紅にほう 桃の花 下照る道に
出で立つ少女 大伴家持
8/5 世の中は なにか常なる あすか川 昨日の渕ぞ
今日は瀬になる 読人知らず
8/6 昨日といい 今日と暮らして あすか川 流れてはやき
月日なりけり 春道別樹
8/7 遅き日の つもりて 遠きむかしかな 蕪村
8/8 松島や 雄島の磯に あさりせし 海人の袖こそ
かくは濡れしか 源重之
8/9 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれにし
色はかはらず 殷富門大輔
8/10 唐衣 着つつなれにし 妻しあれば はるばる来ぬる
旅をしぞ思う 在原業平
8/11 納豆と 蜆に朝寝 起こされる
8/12 むすぶ手の 雫に濁る 山の井の あかで人に
別れぬるかな 紀貫之
8/13 消えはつる 時しなければ 越路なる 白山の名は
雪にぞありける 凡河内みつね
8/14 北へ行く 雁ぞ鳴くなる 連れてこし 数はたらでぞ
帰るべらなる 読人知らず
8/15 づぶ濡れの 大名を見る 炬燵かな 一茶
にぎはひにけり 仁徳天皇
8/2 何処にか われは宿らむ 高島の 勝野の原に
この日暮れなば 高市黒人
8/3 露涼し 形あるもの 皆生ける 村上鬼城
8/4 春の苑 紅にほう 桃の花 下照る道に
出で立つ少女 大伴家持
8/5 世の中は なにか常なる あすか川 昨日の渕ぞ
今日は瀬になる 読人知らず
8/6 昨日といい 今日と暮らして あすか川 流れてはやき
月日なりけり 春道別樹
8/7 遅き日の つもりて 遠きむかしかな 蕪村
8/8 松島や 雄島の磯に あさりせし 海人の袖こそ
かくは濡れしか 源重之
8/9 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれにし
色はかはらず 殷富門大輔
8/10 唐衣 着つつなれにし 妻しあれば はるばる来ぬる
旅をしぞ思う 在原業平
8/11 納豆と 蜆に朝寝 起こされる
8/12 むすぶ手の 雫に濁る 山の井の あかで人に
別れぬるかな 紀貫之
8/13 消えはつる 時しなければ 越路なる 白山の名は
雪にぞありける 凡河内みつね
8/14 北へ行く 雁ぞ鳴くなる 連れてこし 数はたらでぞ
帰るべらなる 読人知らず
8/15 づぶ濡れの 大名を見る 炬燵かな 一茶
8月 名歌観賞一覧 (2)
8/16 秋の菊 にほふかぎりは かざしてむ 花よりさきと
知らぬわが身を 紀貫之
8/17 わが宿の 梢の夏に なるときは 生駒の山ぞ
見えずなりぬる 能因法師
8/18 住江の 松を秋風 吹くからに 声うちそふる
沖つ白波 凡河内みつね
8/19 行く春や 鳥啼き魚の 目は泪 芭蕉
8/20 人住まぬ 不破の関屋の 板廂 荒れにし後は
ただ松の風 藤原良経
8/21 小倉山 峰たちならし 鳴く鹿の 経にけむ秋を
知る人ぞなき 紀貫之
8/22 かにかくに 疎くぞ人の 成りにける 貧しきばかり
悲しきはなし 木下幸文
8/23 落花枝に かへるとみれば 胡蝶かな 荒木田守武
8/24 ひともとと 思ひし菊を 大沢の 池のそこにも
誰か植えけむ 紀友則
8/25 花の木に あらざれめど 咲にけり ふりにし木の実
なる時もがな 文屋康秀
8/26 あおによし 奈良の都の 咲く花の 薫ふがごとく
今盛りなり 小野老
8/27 青梅に 眉あつめたる 美人かな 蕪村
8/28 よそにのみ 見てややみなむ 葛城や高間の山の
峰の白雲 読人知らず
8/29 つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは
思はざりしを 在原業平
8/30 煙たち もゆとも見えぬ 草の葉を 誰かわらびと
名づけそめけむ 真静法師
8/31 高麗船の よらで過ぎく 霞かな 蕪村
知らぬわが身を 紀貫之
8/17 わが宿の 梢の夏に なるときは 生駒の山ぞ
見えずなりぬる 能因法師
8/18 住江の 松を秋風 吹くからに 声うちそふる
沖つ白波 凡河内みつね
8/19 行く春や 鳥啼き魚の 目は泪 芭蕉
8/20 人住まぬ 不破の関屋の 板廂 荒れにし後は
ただ松の風 藤原良経
8/21 小倉山 峰たちならし 鳴く鹿の 経にけむ秋を
知る人ぞなき 紀貫之
8/22 かにかくに 疎くぞ人の 成りにける 貧しきばかり
悲しきはなし 木下幸文
8/23 落花枝に かへるとみれば 胡蝶かな 荒木田守武
8/24 ひともとと 思ひし菊を 大沢の 池のそこにも
誰か植えけむ 紀友則
8/25 花の木に あらざれめど 咲にけり ふりにし木の実
なる時もがな 文屋康秀
8/26 あおによし 奈良の都の 咲く花の 薫ふがごとく
今盛りなり 小野老
8/27 青梅に 眉あつめたる 美人かな 蕪村
8/28 よそにのみ 見てややみなむ 葛城や高間の山の
峰の白雲 読人知らず
8/29 つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは
思はざりしを 在原業平
8/30 煙たち もゆとも見えぬ 草の葉を 誰かわらびと
名づけそめけむ 真静法師
8/31 高麗船の よらで過ぎく 霞かな 蕪村
2007年08月30日
2007年08月29日
つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを
つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは
思はざりしを
在原業平
(ついにゆく みちとはかねて ききしかど きのうきょう
とは おもわざりしを)
意味・・死というものが人生最後の行路だとは前から
聞かされていたのであるが、それが昨日や
今日旅立つ道であるとは思ってもいなかった
なあ。
詞書に「病して弱くなりける時よめる」とあ
ります。死は避けられないものと分かってい
たが、現実のこととして身近にせまり来たと
いう嘆きを詠んだ辞世の歌です。
注・・つひにゆく道=終にゆく道、死路の旅。
出典・・古今和歌集・861、伊勢物語125段。
思はざりしを
在原業平
(ついにゆく みちとはかねて ききしかど きのうきょう
とは おもわざりしを)
意味・・死というものが人生最後の行路だとは前から
聞かされていたのであるが、それが昨日や
今日旅立つ道であるとは思ってもいなかった
なあ。
詞書に「病して弱くなりける時よめる」とあ
ります。死は避けられないものと分かってい
たが、現実のこととして身近にせまり来たと
いう嘆きを詠んだ辞世の歌です。
注・・つひにゆく道=終にゆく道、死路の旅。
出典・・古今和歌集・861、伊勢物語125段。
2007年08月28日
2007年08月27日
2007年08月26日
2007年08月25日
花の木に あらざれめど 咲にけり ふりにし木の実 なる時もがな
花の木に あらざれめど 咲にけり ふりにし木の実
なる時もがな
文屋康秀
(はなのきに あらざれめど さきにけり ふりにしこのみ
なるときもがな)
意味・・花咲く木でもなさそうなのに、これは見事に咲いて
います。それなら、ついでに古ぼけた木にも果実が
実る時もほしいものです。
花の咲くはずがない木に花が咲きました。それならば
古くなったこの身にも花を咲かせて出世させてほしい
ものです。
宮中の渡り廊下に、木で作った造花を飾っているのを
見て詠んだ歌です。わが身の不遇を訴えています。
注・・花の木にあらざる=削り花、木を削って作った花のこと。
めど=「けれども」と「馬道(めどう・めど)」を掛ける。
馬道は建物と建物の間に厚板で囲った廊下。
木の実=「この身」を掛ける。
ふりにし=古にし、年を経るを掛ける。
なる時もがな
文屋康秀
(はなのきに あらざれめど さきにけり ふりにしこのみ
なるときもがな)
意味・・花咲く木でもなさそうなのに、これは見事に咲いて
います。それなら、ついでに古ぼけた木にも果実が
実る時もほしいものです。
花の咲くはずがない木に花が咲きました。それならば
古くなったこの身にも花を咲かせて出世させてほしい
ものです。
宮中の渡り廊下に、木で作った造花を飾っているのを
見て詠んだ歌です。わが身の不遇を訴えています。
注・・花の木にあらざる=削り花、木を削って作った花のこと。
めど=「けれども」と「馬道(めどう・めど)」を掛ける。
馬道は建物と建物の間に厚板で囲った廊下。
木の実=「この身」を掛ける。
ふりにし=古にし、年を経るを掛ける。
2007年08月24日
2007年08月23日
2007年08月22日
2007年08月21日
小倉山 峰たちならし 鳴く鹿の 経にけむ秋を 知る人ぞなき
小倉山 峰たちならし 鳴く鹿の 経にけむ秋を
知る人ぞなき
紀貫之
(をぐらやま みねたちならし なくしかの へにけんあきを
しるひとぞなき)
(を・・・・み・・・・・・な・・・・へ・・・・・・し・・・・)
意味・・小倉の山の峰に立ち、山と馴染みになった鹿の鳴くのが
聞こえるが、あれで幾年(いくとせ)鳴きとおしたことか。
誰も知らないが。
鳴く鹿の声は寂しそうに聞こえます。この鹿の声と、
帰って来る子を待つ岸壁の母の姿とを重ね合わせて
います。
「をみなへし」の字を各句の最初に置いて詠んだ歌です。
注・・たちならし=立ち慣れし、立って慣れ親しむ。
経にけむ秋=何年の秋を経たであろうか。
知る人ぞなき
紀貫之
(をぐらやま みねたちならし なくしかの へにけんあきを
しるひとぞなき)
(を・・・・み・・・・・・な・・・・へ・・・・・・し・・・・)
意味・・小倉の山の峰に立ち、山と馴染みになった鹿の鳴くのが
聞こえるが、あれで幾年(いくとせ)鳴きとおしたことか。
誰も知らないが。
鳴く鹿の声は寂しそうに聞こえます。この鹿の声と、
帰って来る子を待つ岸壁の母の姿とを重ね合わせて
います。
「をみなへし」の字を各句の最初に置いて詠んだ歌です。
注・・たちならし=立ち慣れし、立って慣れ親しむ。
経にけむ秋=何年の秋を経たであろうか。
2007年08月20日
名歌観賞・115
人住まぬ 不破の関屋の 板廂 荒れにし後は
ただ秋の風
藤原良経(ふじわらのよしつね)
(新古今和歌集・1601)
(ひとすまぬ ふわのせきやの いたびさし あれにし
のちは ただあきのかぜ)
意味・・もう関守が住まなくなった不破の関の番小屋の板廂。
荒れ果ててしまったあとは秋風が吹き抜けるばかりだ。
かっては威勢がよかったが、荒廃してしまった不破の
関のありさまに、人の世の無常と歴史の変転をみつめ
ている。
注・・不破の関屋=岐阜県関ヶ原にあった。675年に開設、
789年に廃止された。「関屋」は関の番小屋。
作者・・藤原良経=1206年没、38歳。従一位摂政太政大臣。
「新古今集仮名序」を執筆。
ただ秋の風
藤原良経(ふじわらのよしつね)
(新古今和歌集・1601)
(ひとすまぬ ふわのせきやの いたびさし あれにし
のちは ただあきのかぜ)
意味・・もう関守が住まなくなった不破の関の番小屋の板廂。
荒れ果ててしまったあとは秋風が吹き抜けるばかりだ。
かっては威勢がよかったが、荒廃してしまった不破の
関のありさまに、人の世の無常と歴史の変転をみつめ
ている。
注・・不破の関屋=岐阜県関ヶ原にあった。675年に開設、
789年に廃止された。「関屋」は関の番小屋。
作者・・藤原良経=1206年没、38歳。従一位摂政太政大臣。
「新古今集仮名序」を執筆。
2007年08月19日
2007年08月18日
2007年08月17日
2007年08月16日
2007年08月15日
2007年08月14日
名歌観賞・109
北へ行く 雁ぞ鳴くなる つれてこし 数はたらでぞ 帰るべらなる
読人しらず
(古今集・412)
(きたへゆく かりぞなくなる つれてこし かずはたらでぞ
かえるべらなる)
意味・・春が来て北国に飛び帰る雁の鳴き声が聞こえてくる。
あのかなしそうな鳴き声は、日本に来る時には一緒に
来たものが、数が足りなくなって帰るからなのだろうか。
この歌の左注に、「この歌の由来は、ある人が夫婦とも
どもよその土地に行った時、男のほうが到着してすぐに
死んでしまったので、女の人が一人で帰ることになり、
その帰路で雁の鳴き声を聞いて詠んだものだ」と書かれて
います。
注・・べらなり=・・のようである。
読人しらず
(古今集・412)
(きたへゆく かりぞなくなる つれてこし かずはたらでぞ
かえるべらなる)
意味・・春が来て北国に飛び帰る雁の鳴き声が聞こえてくる。
あのかなしそうな鳴き声は、日本に来る時には一緒に
来たものが、数が足りなくなって帰るからなのだろうか。
この歌の左注に、「この歌の由来は、ある人が夫婦とも
どもよその土地に行った時、男のほうが到着してすぐに
死んでしまったので、女の人が一人で帰ることになり、
その帰路で雁の鳴き声を聞いて詠んだものだ」と書かれて
います。
注・・べらなり=・・のようである。
2007年08月13日
消えはつる 時しなければ 越路なる 白山の名は 雪にぞありける
消えはつる 時しなければ 越路なる 白山の名は
雪にぞありける
凡河内躬恒
(きえはつる ときし なければ こしじなる しろやまの
なは ゆきにぞありける)
意味・・あの山頂の雪が消えてなくなる時がないので、それで
越国(こしのくに)の白山という名前は、雪にちなんだ
ものだったということが分かった。
夏になった今でも雪で真っ白になっている山を見て「あれ
が山の名前の起源だったのか」と大げさに感心してみせた
ものです。
注・・時しなければ=「し」は上接の語を強調する副詞。
時といものがないのだから。
越路=越国(現在の越前・越後)の方面。
白山(しろやま)=石川・岐阜の県境の白山(はくさん)。
雪にぞありける
凡河内躬恒
(きえはつる ときし なければ こしじなる しろやまの
なは ゆきにぞありける)
意味・・あの山頂の雪が消えてなくなる時がないので、それで
越国(こしのくに)の白山という名前は、雪にちなんだ
ものだったということが分かった。
夏になった今でも雪で真っ白になっている山を見て「あれ
が山の名前の起源だったのか」と大げさに感心してみせた
ものです。
注・・時しなければ=「し」は上接の語を強調する副詞。
時といものがないのだから。
越路=越国(現在の越前・越後)の方面。
白山(しろやま)=石川・岐阜の県境の白山(はくさん)。
2007年08月12日
2007年08月11日
2007年08月10日
名歌観賞・105
唐衣 着つつなれにし 妻しあれば はるばる来ぬる
旅をしぞ思ふ
在原業平(ありひらのなりひら)
(古今集・410、伊勢物語・9段)
(からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる
たびをしぞおもう)
(か・・・・ き・・・・・・ つ・・・・ は・・・・・・ た・・・・・)
意味・・くたくたになるほど何度も着て、身体になじんだ衣服
のように、慣れ親しんだ妻を都において来たので、都を
遠く離れてやって来たこの旅路のわびしさがしみじみと
感じられることだ。
三河の国八橋でかきつばたの花を見て、旅情を詠んだ
ものです。各句の頭に「かきつばた」の五文字を置い
た折句です。この歌は「伊勢物語」に出ています。
注・・唐衣=美しい立派な着物。
なれ=「着慣れる」と「慣れ親しむ」の掛詞。
しぞ思う=しみじみと寂しく思う。「し」は強調の意
の助詞。
三河の国=愛知県。
作者・・在原業平=825~880。従四位上・美濃権守。行平は
異母兄。「伊勢物語」。
旅をしぞ思ふ
在原業平(ありひらのなりひら)
(古今集・410、伊勢物語・9段)
(からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる
たびをしぞおもう)
(か・・・・ き・・・・・・ つ・・・・ は・・・・・・ た・・・・・)
意味・・くたくたになるほど何度も着て、身体になじんだ衣服
のように、慣れ親しんだ妻を都において来たので、都を
遠く離れてやって来たこの旅路のわびしさがしみじみと
感じられることだ。
三河の国八橋でかきつばたの花を見て、旅情を詠んだ
ものです。各句の頭に「かきつばた」の五文字を置い
た折句です。この歌は「伊勢物語」に出ています。
注・・唐衣=美しい立派な着物。
なれ=「着慣れる」と「慣れ親しむ」の掛詞。
しぞ思う=しみじみと寂しく思う。「し」は強調の意
の助詞。
三河の国=愛知県。
作者・・在原業平=825~880。従四位上・美濃権守。行平は
異母兄。「伊勢物語」。
2007年08月09日
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし
色はかはらず
殷富門院大輔
(みせばやな おじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし
いろはかわらず)
意味・・あなたにみせたいものです。血の涙で赤く染まった
私の袖を。あの雄島の漁師の袖さえ、波に濡れに
濡れているけれど、色まで変わっていないのです。
失恋のつらさから血の涙で袖が赤く染まってしまった、
それほど深く悲しい恋であったことを詠んでいます。
本歌は源重之の「松島や雄島の磯にあさりせし海人の
袖こそかくはぬれしか」です。重之の袖は濡れただけ
だが、私の袖は濡れたうえに色まで変わってしまったと
詠んでいます。
注・・雄島=宮城県の松島湾内の島の一つ。
色はかはらず=海人(漁師)の袖の色は変わらない。
言外に、私の袖の色は、血の涙で色が変わってしまっ
たが、の意をこめています。
作者・・殷富門院大輔=いんぶもんいんのたいふ。1131~1200。
後白河天皇の皇女・殷富門院に仕える。
出典・・千載和歌集・886。百人一首・90。
色はかはらず
殷富門院大輔
(みせばやな おじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし
いろはかわらず)
意味・・あなたにみせたいものです。血の涙で赤く染まった
私の袖を。あの雄島の漁師の袖さえ、波に濡れに
濡れているけれど、色まで変わっていないのです。
失恋のつらさから血の涙で袖が赤く染まってしまった、
それほど深く悲しい恋であったことを詠んでいます。
本歌は源重之の「松島や雄島の磯にあさりせし海人の
袖こそかくはぬれしか」です。重之の袖は濡れただけ
だが、私の袖は濡れたうえに色まで変わってしまったと
詠んでいます。
注・・雄島=宮城県の松島湾内の島の一つ。
色はかはらず=海人(漁師)の袖の色は変わらない。
言外に、私の袖の色は、血の涙で色が変わってしまっ
たが、の意をこめています。
作者・・殷富門院大輔=いんぶもんいんのたいふ。1131~1200。
後白河天皇の皇女・殷富門院に仕える。
出典・・千載和歌集・886。百人一首・90。
2007年08月08日
2007年08月07日
2007年08月06日
2007年08月05日
2007年08月04日
2007年08月03日
2007年08月02日
2007年08月01日
高き屋に 登りて見れば 煙立つ 民のかまどは にぎはひにけり
高き屋に 登りて見れば 煙立つ 民のかまどは
にぎはひにけり
仁徳天皇
(たかきやに のぼりてみれば けぶりたつ たみの
かまどは にぎわいににけり)
意味・・高殿に登って遠望すると、炊煙が立ち上がって
いる。民の釜戸は煮炊きの物が豊になり、暮し
も楽になった事だ。
藤原時平の「高殿に登りて見れば天(あめ)の下
四方(よも)に煙りて今ぞ富ぬる」を念頭に置いた
歌です。
仁徳天皇が民の貧困を心配して、三年間、年貢を
免除したので民の生活が立ち直ったという。
注・・煙=炊煙。
民のかまど=民の炊事の煮炊き。
作者・・仁徳天皇=にんとくてんのう。没年未詳。
出典・・新古今和歌集・707。
にぎはひにけり
仁徳天皇
(たかきやに のぼりてみれば けぶりたつ たみの
かまどは にぎわいににけり)
意味・・高殿に登って遠望すると、炊煙が立ち上がって
いる。民の釜戸は煮炊きの物が豊になり、暮し
も楽になった事だ。
藤原時平の「高殿に登りて見れば天(あめ)の下
四方(よも)に煙りて今ぞ富ぬる」を念頭に置いた
歌です。
仁徳天皇が民の貧困を心配して、三年間、年貢を
免除したので民の生活が立ち直ったという。
注・・煙=炊煙。
民のかまど=民の炊事の煮炊き。
作者・・仁徳天皇=にんとくてんのう。没年未詳。
出典・・新古今和歌集・707。