2008年07月
2008年07月31日
2008年07月30日
2008年07月29日
2008年07月28日
2008年07月27日
2008年07月26日
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2008年07月14日
名歌観賞・444
蟻と蟻 うなづきあひて 何か事 ありげに奔る
西へ東へ 橘曙覧(たちばなあけみ)
(ありとあり うなずきあいて なにかこと ありげにはしる
にしへひがしへ)
意味・・蟻は這い回り餌を求めて巣に戻るのだが、
西へ行く蟻と東へ行く蟻がすれ違うとき、
何か出来事を伝えているようで、蟻の行
列を見ていると面白いものだ。
兼好法師は徒然草74段で次のように書
いています。
蟻のように集まって、東へ西へと急ぎ、
南へ北へと奔走している。身分の高い人
もおり、低い人もいる。老人もいるし若
者もいる。皆は、一体なんのためにそん
なにせかせかと急ぐのか。
出かけて行く所もあり帰る家もある。
夜には寝る事も出来、朝になれば起きる。
どこが不満なのだろうか。「つれづれ」
を楽しむ余裕がほしいものだ。
西へ東へ 橘曙覧(たちばなあけみ)
(ありとあり うなずきあいて なにかこと ありげにはしる
にしへひがしへ)
意味・・蟻は這い回り餌を求めて巣に戻るのだが、
西へ行く蟻と東へ行く蟻がすれ違うとき、
何か出来事を伝えているようで、蟻の行
列を見ていると面白いものだ。
兼好法師は徒然草74段で次のように書
いています。
蟻のように集まって、東へ西へと急ぎ、
南へ北へと奔走している。身分の高い人
もおり、低い人もいる。老人もいるし若
者もいる。皆は、一体なんのためにそん
なにせかせかと急ぐのか。
出かけて行く所もあり帰る家もある。
夜には寝る事も出来、朝になれば起きる。
どこが不満なのだろうか。「つれづれ」
を楽しむ余裕がほしいものだ。
2008年07月13日
2008年07月12日
2008年07月11日
2008年07月10日
2008年07月09日
2008年07月08日
年ごとに せくとはすれど 大井川 むかしの名こそ なほながれけれ
年ごとに せくとはすれど 大井川 むかしの名こそ
なほながれけれ 源道済(みなもとみちなり)
(としごとに せくとはすれど おおいがわ むかしのなこそ
なおながれけれ)
意味・・大井川は(田の用水として)毎年水を堰止めてい
るけれども、昔の名高い評判だけは、せき止め
られることもなく、今でもやはり流れ伝わって
いることだ。
川を堰止めるので大堰川(おおいがわ)とも
呼ばれ、紅葉の葉がおびただしく流れるの
で有名。
藤原資宗(すけむね)は大井川で遊んだ折り
「紅葉水に浮かぶ」の題で次の歌を詠んで
います。
筏士よ 待て言問はむ 水上は いかばかり吹く
山の嵐ぞ (07年5月28日 名歌観賞・31)
注・・せくとはすれど=(大井川は田の用水として
井堰をつくって)堰き止めているけれど。
大井川=大堰川とも言う、京都嵐山の近くを
流れる川。上流を保津川、下流を桂川と
呼ばれる。
なほながれけれ 源道済(みなもとみちなり)
(としごとに せくとはすれど おおいがわ むかしのなこそ
なおながれけれ)
意味・・大井川は(田の用水として)毎年水を堰止めてい
るけれども、昔の名高い評判だけは、せき止め
られることもなく、今でもやはり流れ伝わって
いることだ。
川を堰止めるので大堰川(おおいがわ)とも
呼ばれ、紅葉の葉がおびただしく流れるの
で有名。
藤原資宗(すけむね)は大井川で遊んだ折り
「紅葉水に浮かぶ」の題で次の歌を詠んで
います。
筏士よ 待て言問はむ 水上は いかばかり吹く
山の嵐ぞ (07年5月28日 名歌観賞・31)
注・・せくとはすれど=(大井川は田の用水として
井堰をつくって)堰き止めているけれど。
大井川=大堰川とも言う、京都嵐山の近くを
流れる川。上流を保津川、下流を桂川と
呼ばれる。
2008年07月07日
名歌観賞・437
武隈の 松は二木を みやこ人 いかがととはば
みきとこたへん 橘季通(たちばなすえみち)
(たけくまの まつはふたきを みやこびと いかかと
とわば みきとこたえん)
意味・・武隈の松は二本あるのだが都の人がどうで
したかと問うたなら「来て見ましたところ
三本でしたよと」答えよう。
有名な武隈の二本松を見て詠んだ歌です。
「二木(ふたき)」だけれど、都人がどうで
したと尋ねたら「三木(見き・見て来ました)」
と答えようという、洒落の歌です。
注・・武隈=宮城県名取郡岩沼町武隈。
松は二木=現在は八代目の松だが、歴代の
松は根際から二股に分かれている巨木
なので二本の松のように見える。
みきとこたへん=来て見てたら三本あった、と
答えよう。「みき」は「三木」と「見き」
の掛詞。
みきとこたへん 橘季通(たちばなすえみち)
(たけくまの まつはふたきを みやこびと いかかと
とわば みきとこたえん)
意味・・武隈の松は二本あるのだが都の人がどうで
したかと問うたなら「来て見ましたところ
三本でしたよと」答えよう。
有名な武隈の二本松を見て詠んだ歌です。
「二木(ふたき)」だけれど、都人がどうで
したと尋ねたら「三木(見き・見て来ました)」
と答えようという、洒落の歌です。
注・・武隈=宮城県名取郡岩沼町武隈。
松は二木=現在は八代目の松だが、歴代の
松は根際から二股に分かれている巨木
なので二本の松のように見える。
みきとこたへん=来て見てたら三本あった、と
答えよう。「みき」は「三木」と「見き」
の掛詞。
2008年07月06日
2008年07月05日
名歌観賞・435
家ありや 芒の中の 夕けむり
童門冬二(どうもんふゆじ)
(いえありや すすきのなかの ゆうけむり)
意味・・家の周りは通常、田や畑であって作物が
育っているはずなのだが、ここは薄に被
われて生活をしていることだ。
作句の動機、状況。
貧困の部落のため、堤の修理もままなら
ず、そのために毎年水害が発生するよう
になった。その結果投げやりになって本
業をやめて、遊びや博打も含めて他の余
業に精を出すようになった。その結果、
田や畑は薄や茅(かや)が茂るようになっ
だ。村人の心に薄が生い茂っているのだ。
心の中の薄や茅を刈り取らねばと言った
ものです。
注・・夕けむり=夕煙、夕食の炊飯の煙。
童門冬二(どうもんふゆじ)
(いえありや すすきのなかの ゆうけむり)
意味・・家の周りは通常、田や畑であって作物が
育っているはずなのだが、ここは薄に被
われて生活をしていることだ。
作句の動機、状況。
貧困の部落のため、堤の修理もままなら
ず、そのために毎年水害が発生するよう
になった。その結果投げやりになって本
業をやめて、遊びや博打も含めて他の余
業に精を出すようになった。その結果、
田や畑は薄や茅(かや)が茂るようになっ
だ。村人の心に薄が生い茂っているのだ。
心の中の薄や茅を刈り取らねばと言った
ものです。
注・・夕けむり=夕煙、夕食の炊飯の煙。
2008年07月04日
2008年07月03日
2008年07月02日
2008年07月01日
名歌観賞・431
慰むる 心はなしに 雲隠り 鳴き行く鳥の
音のみし泣かゆ 山上憶良(やまのうえおくら)
(なぐさむる こころはなしに くもがくり なきゆくとりの
ねのみしなかゆ)
意味・・あれこれと思い悩んで気が晴れることもなく、
雲に隠れて飛んで行く鳥が声高く鳴くように
私も声をあげて泣きたくなって来る。
「年老いた身に病気を加え、長年苦しみながら
子供を思う歌」という題で詠まれたものです。
この歌の前に状況を説明した長歌があります。
この世に生きてある限りは無事平穏でありたい
し、障害も不幸もなく過ごしたいのに、世の中
の憂鬱で辛い事は、ひどい傷に塩を振り掛ける
というように、ひどく重い馬荷に上荷をどっさ
り重ね載せるように、老いたわが身の上に病魔
まで背負わされている有様なので、昼は昼で嘆
き暮らし、夜は夜でため息をついて明かし、年
久しく病み続けたので、幾月も愚痴ったりうめ
いたりして、いっそうのこと死んでしまいたい
と思うけれど、真夏の蝿のように騒ぎ廻る子供
たちを放ったらかして死ぬことも出来ず、じっ
と子供を見つめていると、逆に生の思いが燃え
立って来る。こうして、あれやこれやと思い悩
んで、泣けて泣けて仕方がない。
音のみし泣かゆ 山上憶良(やまのうえおくら)
(なぐさむる こころはなしに くもがくり なきゆくとりの
ねのみしなかゆ)
意味・・あれこれと思い悩んで気が晴れることもなく、
雲に隠れて飛んで行く鳥が声高く鳴くように
私も声をあげて泣きたくなって来る。
「年老いた身に病気を加え、長年苦しみながら
子供を思う歌」という題で詠まれたものです。
この歌の前に状況を説明した長歌があります。
この世に生きてある限りは無事平穏でありたい
し、障害も不幸もなく過ごしたいのに、世の中
の憂鬱で辛い事は、ひどい傷に塩を振り掛ける
というように、ひどく重い馬荷に上荷をどっさ
り重ね載せるように、老いたわが身の上に病魔
まで背負わされている有様なので、昼は昼で嘆
き暮らし、夜は夜でため息をついて明かし、年
久しく病み続けたので、幾月も愚痴ったりうめ
いたりして、いっそうのこと死んでしまいたい
と思うけれど、真夏の蝿のように騒ぎ廻る子供
たちを放ったらかして死ぬことも出来ず、じっ
と子供を見つめていると、逆に生の思いが燃え
立って来る。こうして、あれやこれやと思い悩
んで、泣けて泣けて仕方がない。