身代は まはりかねたる 車引き つらきうき世を おし渡れども 東路の 小夜の中山 なかなかに あひ見てのちぞ わびしかりける

2020年08月01日

契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは

1333

 
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山
波越さじとは      
                  清原元輔

(ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すえの
 まつやま なみこさじとは)

詞書・・心変わりをした女に、相手の男に変わって詠んだ

    歌。

意味・・二人は約束しましたね、お互いに幾度も涙の袖を
    しぼりながら、あの末の松山を浪が越えるような
    ことはないように、私達の仲も行く末けっして変
    わるようなことはないと。


    恋の誓いが破れた歌です。恋は永久不変と思って
    いても、このようなもろさを秘めている。


    「君をおきてあだし心をわが持てば末の松山
    波も越えなむ」を念頭に入れた歌です。
         (意味は下記参照)

 注・・契りきな=「契る」は約束する、「き」は過去の
     助動詞の終止形。「な」は感動を表す。
    かたみに=互いに。
    袖をしぼりつつ=涙で濡れた袖をしぼる。
    末の松山=宮城県多賀城市のあたりの地名。
     どんな大きな波でも末の松山を越す事がないか
     ら、二人の間に心変わりのない事のたとえとな
     った。


作者・・清原元輔=きよはらのもとすけ。908~990。清
    少納言の父。

出典・・後拾遺和歌集・770、百人一首・42。

参考です。

君をおきて あだし心を わがもたば 末の松山 
波も越えなむ
                  詠み人知らず

意味・・あなたをさしおいて、ほかの人に心を移すなんて
    ことがあろうはずはありません。そんなことがあ
    れば、あの海岸に聳(そび)える末の松山を波が越
    えてしまうでしょう。

    心の変わらないことを誓った歌です。

 注・・あだし心=浮気心、うわついた心。
    末の松山=宮城県の海辺にあるという山。

出典・・古今和歌集・1093。




sakuramitih31 at 08:00│Comments(2)和歌・短歌・俳句 

この記事へのコメント

1. Posted by 夢子   2020年08月07日 10:20
名歌鑑賞さん おはようございます
私のブログに 載せているのを
みてみました
こうしてみると うまく書けているなと
(_≧Д≦)ノ彡☆ばんばん
しかしです
やはり 歌の意味も しっかりと
わからず書いていました
名歌鑑賞さんの解説を いつもこうして
読むたびに そういう思いを感じながら
今度は 書いてみたいなと思います
書道って いちばん 私好きかも!
2. Posted by 名歌鑑賞   2020年08月08日 01:32
夢子さん こんばんは。

夢子さんの百人一首の書道を見ようと思って
行ったのですが、「春は花夏ほととぎす秋は月
冬雪すずしかり」を見てうっとりして見ていました。「牡丹花は咲きさだまりて・・・」見ていると
気が休まりますね。

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